塗装技術

この頁の内容は、月刊誌「塗装技術」(理工出版社)97年12月発行の、特集記事「防錆・防食技術の進歩と最新施工工事例」で発表されたものです。

 


「橋りょうおよび架橋への塗装施工例」                                                                 

 錆面への再塗装において、錆を残したままの施行は寿命が短いことは周知であり、求められる充分なケレン作業には、
かなりの手間と、多大な費用がかかる。

 ひと口に、錆を充分除去するとは言っても、元来、すでに鋼構造物の一部になっている表面処理を、100%満足
させるには無理が多い。たとえ、新設された構造物であったとしても、鉄面は自然に発錆が進行しているため、
例外的な場合を除いて、鋼構造物への塗装は、常時、錆面塗装であると言えよう。従って、再塗装・補修においては、
多少の格差はあるものの、錆面上に施工されると考えた方がよい。これらの状態を逆手に取り、下地に残存する錆を
無害にして、上に形成される塗膜の遮断効果を100%引き出す様に作られたのが、錆面活用型塗料である。

 当社の錆面塗料が上市されてから、早くも20年が経過しようとしている。
 当初は、その開発コンセプトや塗料構成が、上述のように既成概念をうち破るものであり、しかも、重腐食状態でも
錆面用が可能と言った言葉の誤解から、実際には十分な機能性を発揮されない場合も多かった。

 しかしながら、徐々に評価が高まり、定着し、比例して市場ニーズは確実に増え続け、それに伴い、数多くの実績と
信頼を得てきたのである。

 本稿では、こういった状況を踏まえつつ、現在、多目的に活用されている錆面活用型重防食塗料の施行事例を
紹介する。


1.原爆ドームへの施工例

 当社の長年の実績から言っても、サビロックの代表的施行例は、何と言っても”原爆ドーム”であろう。
 これは現在、世界遺産として歴史的建造物となっており、平成元年初頭から永久保存を目的として調査・検討され、
補修後も数十年周期でメンテナンスが施されていくことになっている。

 その改善補修に当たっては、当時、何十社というメーカーがこぞって採用を働きかけたものであった。広島大学などでの
厳正なテストの結果、錆面活用の機能を、唯一認められたサビロックが鉄部の腐食更生材料に指定・採用されたのである。

 施工は平成元年の暮れから平成2年の春にかけて行われ、既に年11年現在10年が経過しようとしている。
 施工仕様は、全て同建造物内にテストピースとしても置かれており、毎年データがとられている。この工事は被爆から
40年後の大改修であったが、そのデータを踏まえての今回の保存工事だったため、次回は倍の80年くらいのサイクルが
期待される。次回の補修工事までには膨大で貴重なデータが得られることになるだろう。

 (以下 略)